こうぶんさん

昨日の建築家・中村好文さんの講演会。こんなテーマのもとに講演会が進められる。

建築家の中村好文さんは、エネルギー自給自足の暮らしをする為に、長野県御代田町浅間山のふもとに、
小さな山小屋を建てました。ご家族やアトリエのスタッフ、親しい友人たちと週末や休暇を過ごす「小屋」。
小屋には「LEMM HUT」という名があります。意味は「旅鼠の小屋」。小屋で営まれる、不便で不自由な暮らし。
でも、エネルギーを創意工夫することで、普段気づかないけど、想いっきり豊かで愉快な暮らしがそこには
あります。そんな秘訣を聞いてみましょう。

会場に足を踏み入れると、壇上には後に他のプレゼンターと語らうためのご自身作のスツールが
3脚用意されていた。
安曇野ちひろ美術館の為に設計された一人掛け用の椅子「サムチェア」など。やさしい椅子たちの佇まい。
会の前に司会進行の女性がマイク越しに『こうぶんさん』とご本人を愛称で呼んだくだりがあって
(本当はなかむらよしふみさんです)好文さんの軽妙洒脱でお茶目という愛されキャラが露呈したシーンだったに
違いない。

人気建築家と巷で言われるのにはやはり理由があって 話される言葉も内容も聴いていていつの間にか好文さん
ワールドに引き込まれてゆく感覚。

先ほどの引用文の中に出ていた「LEMM HUT」をはじめ、ご本人からの説明を聴きながらスライドを順に見ていく
というスタイルで話はどんどん進む。

2部では「エコデザインの愉しみ方」という題目。私が受けた印象は、言葉だけがひとり歩きしているような
“eco”という活動を推進していくことではなく、“不便さや不自由さがあって助け合いや自然との共存が生ま
れる”必然的におとずれることと対峙する、ということ。

それが中村好文さん流のエコという結果であるのだなぁ、と。

例えばストーブを設計されるにあっては、炎や煙など燃焼の自然法則に逆らわず「いかに効率の良い形態で使い
やすく美しいか」にこだわり追求されていること。

雨樋をつたう雨水の集水器(値段的には決して高価でない)の優れた形状とその発揮する効果・・・など、理にかなう
ということの良さを再発見する。

“エコデザイン、というのはこれからでしょうね”と最後におっしゃった好文さん。

そうです、わたしたちもデザインというものに携わっているからには、何か使命を負って生きているのだから
真剣に考えないと!

それにしてもあまりにも集中しすぎて会場出たあと頭痛に襲われる私。でも19の頃に知った建築家・中村好文さんは
やっぱり私の永遠の憧れだなぁ。


HPより拝借 
中村好文さん設計の椅子、「ララバイ」