父の背中。

先日、父の仕事の現場についてゆきました。


土日も関係なく働く大工さん達への温かい缶コーヒーの差し入れを持たせ


私に「名刺持って来たか?」と有無を確認したと思ったら、現場の棟梁さんにいの一番に挨拶させる父。


子供の頃は私のこと車で待たせていたのに、なんだかすっかりわたしをオトナ扱いだ。





実はこの新築の戸建て物件は私がこの道を志したきっかけでもある恩師が設計した建物。


その恩師と当のわたしはすっかり交流が途絶えつつあるのだけれど とある時期に


わたしの父の仕事をたいへんに評価して頂いてからというもの 事ある毎にひいきにして


もらっているようで 私もそのセンセイの設計をまた肌で感じたかったのと父の仕事に対する


姿勢を垣間みたいタイミングでもあったし 全てが合致した、そんなタイミングの午前中だった。



先生らしい、懐かしいような安心するような、そんな空間になりそう。
先生は真面目で純粋で控えめで、、、人が大好きな先生だった。


“建築は一生勉強だ。たくさん恋をしてたくさん遊んでおおいに人生を生きなさい。”
19歳の自分にはまだ深さが浸透しきれなかったが今の自分が過去の自分に会ったなら
これがどれ程の意味なのか説明できるだろうな。。


“もしも窓を配する位置の検討をするならば、自分の大好きな人がそこから手を振っているのを想像して
ごらんなさい。いちばん最適な位置が見つかるはずだから…”


そんなロマンティックな台詞の似合う、ビートルズ好きの渋いオトナだった。
元気にしているかな、久しぶりにお会いしたい。
いまの自分を見てもらいたい。



先生の描いた図面が傍らに置かれているのに気づき手にしてみると
やはりそこに存在していたのは先生の線、だった。



先生、父親とこうして一緒に同じ車窓を見て仕事の話が出来るようになりました。


こんな機会を、自分にとってかけがえのない時間を与えてもらえて、先生の生徒で良かったです。


ありがとうございました。


そして
ちょっぴり大げさだけれど
父とのこの日を一生忘れられないだろうな、
そんなことを想う自分です。