コーヒーにまつわる話、そしてクランブルケーキ。


わたしの両親は朝起き抜けに“コーヒー飲む?”というかんじで始まり、
アルコールに切り替わるまでほぼ1日マグカップを手放さない。


その無類のコーヒー好きな両親から生まれたのに幼い時から社会人になるまで
私はコーヒーに縁がなかった。
いや正しく言うと縁、はあった。


連れていかれた買い物のかごにはインスタントコーヒーが入っていたし、
お菓子コーナーで『コーヒービート』を確かに自分で選んでこっそり買い物かごに入れていたし、
自営業の父の事務所掃除をする時は職人さん達が現場に行く前ミーティングで飲んでいったらしい
あのプラスチック製のカップを洗っていたし…


しかしもっともらしい“縁”に関するエピソードがあるとすれば、実はこれかな。
母方の伯母が私が母のお腹にいる以前から『喫茶ピピ』という喫茶店を電車通りの傍らで営んでいた、
という事実。
その当時、贅沢をするお金はないが休日の時間を持て余す若かりし両親は毎週末ピピに通っていた。
胎児の頃から私は淹れたてのコーヒーの芳醇な香りを嗅いでいたのかも知れない。
*1


社会に出て営業事務になったと同時に初めて毎朝コーヒーを淹れるという役目を担うことになった。
それも営業所長筆頭にカフェインが切れると情緒不安定になるんじゃないかという具合に所員皆が
コーヒー好きだったから。
それからというもの、営業マンに比べていちばん遅く出勤してくる自分が淹れるコーヒーを今や遅しと
待っていてくれる(自分たちで淹れたらいいのに、と思っていた若かりし自分。)事が微笑ましくもあり、
責任感あり、そしてコーヒーの香りが立つ給湯室で仕事モードへとスイッチが入るという日常になっていた。


今自宅でこうして自らシティーローストをフィルターに盛り、ガス台からやかんを下ろし沸騰したての
お湯を注ぎ香りを嗅ぐ瞬間が幸せと感じるのがなんだか可笑しい。
いつの間にか大人になっちゃったなー



そしてコーヒーをふんだんに使ったケーキを作ってみました!



コーヒークランブルケーキ
そぼろ状というか、マーガリンと粉類を手ですり合わせるようにして生地を作るので
ざくっとした食感に下のスポンジ部分がしっとり、という具合。
ワンボールで出来ちゃった、簡単*




今夜はこのケーキにホットミルクにきまりっ!

*1:余談ではあるがその思い出の喫茶店は残念なことに数年前閉店してしまった。
学生たちがランチによく来る店だったが、その学生たちが通う学部はほどなく店からだいぶ離れた
場所に移設されてしまい、駐車場もない電車通りという立地上の問題もあっての事だったと思う。
記憶のない赤ちゃんの頃から学生になり受験を迎えようとも必ずそこに家族皆でほぼ週1度は
行っていたあの頃が懐かしい。